すみれの花咲くダイアリー

宝塚歌劇団のこと。

【ヅカめも】スターシステムって?

 

宝塚歌劇において最も特徴的で、唯一無二だと思うもの。それが、独特のスターシステムです。

 

他のミュージカルや演劇の舞台では、公演が行われるごとに演者が変わります。それはもう、メインキャストからアンサンブルまで。ところが、宝塚歌劇は昨日の記事(【ヅカめも】組が5つありまして - すみれの花咲くダイアリー)でも触れたとおり「組」が基本単位ですから、退団や入団、組替えなどで入れ替えがある以外、メンバーは変わりません。そして、本公演の主演を務めるトップスターも代が変わるまで固定です。これがスターシステム最大の特徴。

 

それ以外にも、いろんなルールがあります。

 

トップスター、トップ娘役

スターシステムが確立される前(何十年も前になります)はダブルトップ制などもありましたが、現在は各組にトップスター(男役)とトップ娘役が一人ずついます(トップ娘役に関しては時たま不在の場合もあり)。そして、在任中は出演するすべての公演で主演およびヒロインを務めます。

 

 

Q.「トップスター」の条件は?

 まず大前提として、宝塚歌劇の公演は、ディナーショーや一部のコンサート等を除き、全ての公演の主演を男役が務めるため、男役であること。

そして、人気・実力・スター性ともに認められた人であることも大切です。若手の頃から研鑽を積み、別箱や新人公演での主演の機会を与えられ、競争に勝ち抜いてきた方だけが、約400人いるタカラジェンヌの中でたった5人しかいない、まさにトップ=頂点を極められるのです。

もちろん、トップスターになることだけが全てではありませんが…自分の応援しているジェンヌさんがトップになって喜ばないファンはいないでしょう。

 

Q.「トップスター」って入団して何年くらいでなれるの?

宝塚には「男役10年」という言葉があり、ある程度年数を重ねてはじめて男役として自然な振る舞いができる、というのがセオリー。従って、組を代表するトップスターも入団10年目以降で就任する方が多いです。かの有名な元月組トップスター天海祐希さんは、なんと入団7年目に就任。当時でも異例中の異例でした。

 

Q.「トップスター」が交代することはないの?

トップスターの地位に就いた方が退団するまで、誰か別の方へ交代することはありません。

 

Q.「トップ娘役」はどうやって選ばれるの?

宝塚歌劇の人事は男役さん優先。主演は男役だし、ファンからの人気も男役の方が高いからです。 

 

だったらトップ娘役は誰でもいい?

→それは違います!!!!!

 

時にはトップスターさんをかすみ草のように引き立て、時には一人で場面を成立させ、美しさ可憐さでお客さんを魅了する。舞台を成功させる上で、めっっっっちゃ大切な立場なのです。

 

10年以上のキャリアが通常とされるトップスターとは違い、娘役トップは早ければ入団2〜3年目くらいで就任します。よって、トップスターより上級生が就任することはまずありません。

選ばれる上で大切なのは実力、容姿、華やかさ…また、特別に重要視されるのが、隣に立つトップスターとの相性。トップコンビはどちらか、もしくは両方が退団するまで固定ですので、二人の持ち味や舞台でのバランスをよくよく考えられた上で決定されるのです。

 

Q.トップスターやトップ娘役はどうやって発表されるの?

ファンへのお知らせで最も早いのが宝塚歌劇公式ホームページでの発表。その後専門チャンネルや宝塚が発行する雑誌で扱われる他、新聞各社などでも取り上げられます。ホームページでの発表の文面はこんな感じ。

 

●組 次期トップスターについて

 

この度、●組次期トップスターに●組の✴︎✴︎✴︎✴︎が決定しましたのでお知らせいたします。 
なお、新トップスターとしてのお披露目公演は、□年□月□日に初日を迎える●組□□□公演『□□□』となります。

 

(トップ娘役も同時就任の場合は、同時に発表されます)

別箱での「プレお披露目公演」にてトップスターとして最初の舞台に立ったあと、大劇場・東京宝塚劇場での本公演、いわゆる「お披露目公演」にて初めて「ナイアガラ付きの一番大きな羽根」を背負ってパレードの大階段を降ります。ファンにとっては感動の瞬間です。

 

 

二番手男役スター

トップスターの下はどうなってるのかと言いますと、それはもちろん美しいピラミッド状になっております。そして、すぐ下にいるのが二番手男役スターです。

 

お芝居ではトップスターに相対する敵、親友など常に「2番目に目立つ役」を務め、ショーの群舞でもばっちりトップスターの隣のポジションにいるのが二番手スター。

 

実のところ、正統派ヒーローを演じることがほとんどなトップスターよりも、悪役やおじさんなど幅広い役が回ってくる二番手時代の方がオイシイ!というファンもいたりして。

 

 

三番手スター

男役の中で3番目の立ち位置です。組にもよりますが、このあたりまではだいたい固定。

 

あれ、娘役は?と思うかもですが、男役にはトップ→二番手→三番手と明確な番手があるのに対し、娘役の役付きは公演によって流動的です。ただ、新人公演や別箱のヒロイン・ヒロインに準ずる役を務める娘役は、当然本公演での役付きも良く、「娘役スター」と評価されます。

 

 

別格スター

「トップスターにはならないだろう…けどあの人、カッコいい!!素敵!!」というのが別格スター。比較的上級生がこう呼ばれます。脇を締める演技派や他にはない個性を放つスターなど…公演になくてはならない存在。

 

 

宝塚歌劇の世界はスターシステムが全てと言っても過言ではないほど。ひとつの組の公演やメディア露出をじっくり見ていると、下克上があったり「あ、◯◯さんとうとう3番手になったんだな」と分かる瞬間があったりするんです。

 

ファンは、応援するジェンヌさんの昇進・活躍を自分のことのように喜びます。役付きが思うようにいかなかったときの悔しさも然り。運命共同体のようなものですよね。

 

ここが宝塚歌劇のファンが途絶えない理由かな、と個人的には思っています。